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コラム

ピアノの道
vol.106 メモリアルデー・マンザナ―

2023-06-02

 昔の私にとってメモリアルデーは、ホームステイ先の家族と庭でバーベキューをする初夏の楽しい三連休でした。でも退役軍人や戦争経験者の知人が増えるにつれ、戦争犠牲者を追悼する日という認識が深まってきたのです。

 そんな今年のメモリアルデーはManzanar National Historic Site (マンザナ―国定史跡) に行きました。第二次世界大戦中に合計12万人以上の日系アメリカ人を収容する為に米国に点在した10の施設の一つ。11,070人が収容されていました。

 LAから北に220マイル。砂漠道を延々と運転していると、当時の人々の不安が聞こえて来るようです。 (水も目印も日陰もない…) (脱出しても逃げ通せない…) 

 「人間みな平等」「生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を守るのが政府」と記した独立宣言に署名をした56人中41人が奴隷所有者だったアメリカの矛盾は、他にも先住民の大虐殺、奴隷制度など数えきれません。掲げる理想が高い分、背徳の歴史から目を背けたくなるのも分かります。(3連休にマンザナ―に来る物好きなんて我々くらいだよね...) 人気のない館内を覚悟して到着してびっくり。家族連れ。年輩夫婦。制服姿の10代の団体。説明を読む人。腕を組んで写真に向き合う人。子供もひそひそ声です。色々な外国語や民族衣装。決して日本人・日系人だけではない、多様な人々が過去と向き合っている。

 収容所内の大工さんたちが協力して建てた集会場を改築したビジターセンターではマンザナ―の歴史を映画や展示物で知る事ができます。収容所での生活の様子を再現したバラックや食堂では生存者の体験談を録音で聴くこともできます。家を追われ、財産放棄を強要され、人種差別によって人生を中断された我々の先輩は、それでもなお1942年3月から1945年11月まで収容所内で創造力と人間性を大事に生きたのです。まず学校を開設。畑を耕し、砂漠の中で収容所内の消費の自給8割の野菜を栽培するまでに。醤油・味噌・豆腐・焼酎・漬物なども自給自足。豚・牛・鳥も飼育。池を掘って日本庭園造設。家具や小物や飾りや日常雑貨も手造り。食堂には壁画。映画上映会。舞踏会。演奏会。卒業式も冠婚葬祭なども決行。

「どんな状況でもできる事はある」…先輩にお尻を叩かれた気がしました。

この記事の写真付き増幅版はこちらでお読み頂けます。

英語訳はこちらです。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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