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コラム

ピアノの道
vol.108 音楽家の環境運動

2023-07-14

 Institute of Religion in the Age of Science(科学の時代の宗教研究会)にご招待頂きました。冷戦中(1954年)、核戦争になった場合被害を最小限に食い止めるために地域を統率できるリーダーとして様々な宗教家と科学者が集まり、脅威の現実と守るべき人間性の相互理解を深めるために始まった学会。今年のテーマは環境問題。歴史ある学会からのご招待は光栄でした。「Tempo:音楽による環境運動」のメンバー代表として一週間離れ島で哲学者・法律家・宗教学者・自然科学者・経済学者・政治科学者などと交流し、演奏とプレゼンを行いました。

 (ピアニストがそんな学会で専門家に何を言えるのか?)参加には勇気も必要でした。でも一週間の交流を経て、何度も「群盲象を評す」を思い出したのです。象と言う動物の存在を全く知らない六人の盲目者が手探りで自分の感触を描写します。「長くてゆらめく通気口。」「地面から生えた太くて重い柱。」「薄くてパタパタする巨大な団扇。」五世紀のインドまで記録が遡り、世界中で語り継がられるこの寓話。自己主張のぶつかり合いで終わるバージョンが主流です。でもこういう専門家の集まりでいろんな観点の橋渡しをする事が出来るのは、感性や聴く姿勢や表現力を教え込まれた私の様な音楽家なのでは?プレゼンでそう話し、更に音楽の効用の研究と教育・医療・政策などに於ける応用成功例をご紹介し、多くの方に喜んでいただけました。

 研究会の理念を訳します。

●近代の知識の基に、効果的な人間福祉の原則と慣習の形成を促す創造・協力体制を応援する。

●科学が培う概念と宗教観に基づいた人間性に於ける希望と目標と指針の積極的でポジティブな関係性を形成する。

●文化背景や体験を超越し、世界的協力体制の土壌となる万国共通の人間の価値観を提示する。

 戦後の日本に一般的な宗教に対する距離感や懐疑心は私にもあります。でも自分よりも大きなものに対する畏怖や敬意の精神や、儀式の一体感や統率力が環境運動には必須だと思うのです。朝の礼拝、禅僧との瞑想、夜のキャンドルライトサービスに参加し、同じ釜の飯を食べ、散歩や海辺のヨーガや談笑や時には涙も共にし、様々な専門家と共鳴し、今私は決意を新たにしています。

この記事の英訳はこちらでご覧いただけます。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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