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コラム

ピアノの道
vol.137 111度の演奏会

2024-09-13

 猛暑が続きました。LA界隈で一番暑くなるのはサンタモニカ山地で海風が遮られる「ヒートポケット」のウッドランドヒルズ。一ヶ月おきに私の定期演奏を主催して下さるプラット図書館のある場所です。先週土曜日の演奏の日は最高気温が華氏111度(摂氏43度)!記録更新の暑さでした。

 小さな会場ですが、立ち見が出るほど地域に根付いたシリーズ。(でもこの炎天下に何人ご来場下さるかな...)私の心配は無用でした。ウォームアップのために早めに会場入りする私よりも早く、数人が中央最前列にすでに陣取っていらっしゃいます。「昔は世界中を旅行したけれど腰を骨折して…今は演奏会が楽しみなの。あなたの演奏は中でも一番の楽しみよ!」きれいにお化粧をした顔なじみが歩行器に体を預けながら楽し気に話しかけてくださいます。いつもは子供連れの夫婦などもちらほらいらっしゃる会場が、この日は高齢者のみ。子供時代から冷房やITに慣れ親しんだ世代より、うちわとラジオで育った世代の方が意外とタフなのかもしれません。

 黒人霊歌を主題にした変奏曲やロシア系ユダヤ人のガーシュウィンの前奏曲、そして独立革命をきっかけに祖国ポーランドを去ったショパンのバラードなど、話しを交えながら弾き進めます。質疑応答も活発。世界や人生に翻弄されながらも音楽を紡ぎ続ける人間の強さに対する感動と感謝で会場に一体感が生まれました。音楽というのは圧政された声に耳を傾けるきっかけをくれます。音楽家としての私の使命です。

 先月末、アフガニスタンの暫定政権タリバンの法務省は、公の場で女性が声や顔を出すことを禁じる規則を含む新たな法律を発表しました。女性の中学校以上の教育も許されていません。音楽の演奏も「若者を迷わせる」として2023年の夏、ギターやタブラやスピーカーなどが大量に燃やされています。表現の自由も教育も差別されないことも世界人権宣言に含まれる基本的人権です。世界市民、そして音楽家として私の断固反対をここに発表します。

この記事の英訳はこちらでお読みいただけます。


※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。
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平田真希子 D.M.A. (Doctor of Musical Arts)

日本生まれ。香港育ち。ピアノで遊び始めたのは2歳半。日本語と広東語と英語のちゃんぽんでしゃべり始めた娘を「音楽は世界の共通語」と母が励まし、3歳でレッスン開始。13歳で渡米しジュリアード音楽院プレカレッジに入学。18歳で国際的な演奏活動を展開。世界の架け橋としての音楽人生が目標。2017年以降米日財団のリーダーシッププログラムのフェロー。脳神経科学者との共同研究で音楽の治癒効果をデータ化。音楽による気候運動を提唱。Stanford大学の国際・異文化教育(SPICE)講師。

詳しくはHPにて:Musicalmakiko.com




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