キム・ホンソンの三味一体
vol.216 安心で楽しい人生
2024-10-18
聖書の中にイエスとあるお金持ちの人との興味深い対話があります。彼はイエスに永遠の命を得るには何をすれば良いか、と尋ねます。彼は子供の時からすべての掟を守ってきているとしながらも、永遠の命を得られる確信が持てなかったのです。イエスはその彼を見つめ、慈しんでこう言いました。「あなたに欠けているものが一つある。行って持っている物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に富を積むことになる。」(マタイ10:21)すると彼はその言葉に気を落とし、悲しみながら立ち去った、とあります。
イエスの彼への慈しみに満ちた眼差しは、何かを所有しているように見えて実はその何かに所有されている人間の有様に向けられているように思えます。何もお金持ちじゃなくても人は誰でも所有しているものを手放すことがなかなかできないのです。
うちの子供達は毎週の水曜日になると自動的に3ポイントずつクレジットがもらえることになっています。1ポイントは1ドルのことで、自分が欲しい物があれば、パパやママにそれを買ってもらって、その分を自分のクレジットから引くというシステムです。皆どんなすごいものを買いたいと思っているのか、今のところお金を全然使わずに貯めています。そして、いつか本当に欲しいものが買えるだけのポイントが貯まったら、一気にポイントを全部使ってそれを買うだろうと思います。聖書の中のお金持ちの男は、自分の欲しいものを手に入れるために財産を一気に売り払うことはできませんでしたが、うちの子供達はそれができるのです。その理由は簡単です。子供達はパパとママを頼りにしているからです。全財産をはたいて欲しいオモチャを買ったとしても、パパとママがちゃんと養ってくれると信じているのです。お金というのは使う時に初めてその価値を発揮します。そういう意味で言うと、子供達こそ本当の意味で何かを所有することができているのかも知れません。大人になると、この先のことやもしものことを考えてケチになってお金を使うことよりも、結局はお金に仕えるような有様になるのです。
しかし、私たちに命を与え、養い、守り導く神の存在を信じることができる時、もっと色んなものから自由になれるような気がします。もらうことよりも与えることのできる自由、愛されることよりも愛すことのできる自由、何より将来のことを心配しないで神にすべてを委ねることのできる自由がある人生。そんな人生はきっと安心で楽しい人生に違いありません。
礼拝:日曜日午前10時(ハンティントンビーチ)、日曜日午後2時(トーランス)
お問い合わせ:khs1126@gmail.com (310) 339-9635
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。