ピアノの道
vol.147 固執すべき本質
2025-02-15
あなたがあなたで在るために、必要な物は何ですか?それを取るとあなたがあなたで無くなるもの、あなたの本質です。
…どんな答えがあるでしょうか?子供・伴侶・親友などの人間関係。仕事や夢など打ち込む「道」。趣味や慈善事業・社会運動などの活動。記憶や価値や世界観や歴史・伝統を継承していく使命感。
私の本質は表現だと思います。演奏も執筆も講義も私にとっては自分が感受し理解したことを拡散する表現方法です。そして自分が投げかける表現に対して返ってくることをまた受け止め、更にそれを消化してまた表現する。その繰り返しが私を私たらしめる道—私の本質なのだと思います。
それでは、アメリカ合衆国の本質とは何でしょうか。リンカーン大統領の「人民の人民による人民のための政治」は有名です。しかしこの数週間で、人民が落選させた政治候補者が公職に任命され、人民が選出していないイーロン・マスクが前代未聞の政治権限を行使し、人民が選出した議員たちが代々作り上げてきた政府機関が次々と閉鎖され、国の本質が危機にさらされています。「移民の国」アメリカが避難民受け入れプログラム (USRAP)を急停止し、すでに受け入れが決まっていた何千人もの迫害被害者たちに足止めを食らわせています。独立宣言に「人間みな平等」と掲げたアメリカが、食料・医療・教育・災害救済などの世界の人道支援を担ってきたUSAIDを閉鎖。更に、医療や技術を始めとする様々な分野で論文や特許や受賞の数で世界一を誇ってきた「研究大国」アメリカですが、その研究予算も脅かされています。
ケネディー大統領は就任式の演説で有名な質問を投げかけました。
「Ask not what your country can do for you – ask what you can do for your country. (国に何をしてもらえるかではなく、国のために何ができるかを問おう)」
アメリカという国の本質のために、そして世界の将来のために、私たちにできることはなんでしょうか?
この記事の英訳はこちらでご覧いただけます。
※コラムの内容はコラムニストの個人の意見・主張です。

